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創作相談板 記事No.8999

Re: 技名の表記

◆ 姫川 涼 [8999] 12/11/08(木) 09:46
おもしろそうな議題でしたので、ふらりと書き込みさせていただきましす。
こちらこそ初めまして、普段は読み専門に回っています、姫川と申します。
私自身、書き物はなかなか不得手で、現役の方にも優秀な書き手がいらっしゃいますから、描写アドバイスはその方々にお任せ(!)して、読み手なりに考えてることや感じたことを書かせていただきたいと思います。
 あくまで、私個人のマイノリティな意見だと、気楽に読み進めていただければこれ幸いです。
端的に言いますと。
技名なんて言っても言わなくても、たいしたことではないと考えます。
それよりもまず、LUCEさんに質問させてください。【作品の世界の中では、どんな理由があって技名を言うのでしょうか?】……ああ、こちらに書き込まないで、心の中でお答えになって大丈夫ですよ。透視しますので。
……思いつきましたか?
……思いつきましたね。はい、ありがとうございました。
今は、どんな答えになったでしょうか。
こういうのに理由をつけてあげるのって、なかなか難しいですよね。魔法だったら詠唱=長めの台詞を用意したぶんだけ集中できるから、高威力・高ランクの魔法を繰り出せるって思いつくんですが、事が武術に及ぶとこれがもっと大変。
一秒ごとに状況が目まぐるしく移り変わる戦場で、命を懸けた真剣勝負で、いくら秘奥義とはいえ長い台詞を用意してあげると、喋ったぶんだけ酸素が体からなくなってキレが鈍ったり、技よりも台詞に集中したら倒す前にこっちが自滅するんじゃないか、それ以前に宣言も予告もなしで秘奥義かませばすぐケリがつくんじゃね? ……なんて考えも多めに浮かんできてしまいますから。
だからといって、技名だけが入った「」が何個も続いた挙句、〆に変な断末魔を入れた「」をはさむスタイルで戦闘を進行させて、あげくそれを戦闘シーンですとどや顔で発表するのも見たくない。そんなものは、毒にもギャグにもなりません。
こういうのは、ゲームだから映えるのであって、活字にした途端、一気に陳腐になってしまう――というのが、私なりの持論です。やるにしても、相当な工夫が必要でしょう。


ところで。
LUCEさんは、読み手に不必要な想像させることを良しとしないとおっしゃってますが、私はNoです。
その理由を、私も魔神剣を例に、ちょっと述べさせていただきます。もうしばらくお付き合いを。
確かに、魔神剣は剣でつくりだした衝撃波を飛ばす、とてもシンプルなものです。
ですが「魔神剣」を知らない人にはどう説明しましょう?
ゲームをした人には、上記の説明で十分でしょうが、これだけの情報ではあまりにも足りません。どれくらいのスピードで飛んでいくのか、威力は、剣は振り下ろすのか・振り上げるのか、衝撃波が生まれる振りは突き・斬りのどれか、衝撃波は剣先から出るのか、技の質としてはソニックブームのようなものなのか、剣術の流派によって質がどのように変わるのか、使用者の体運びはどんなものか、射程距離はいかほどかetc,etc……
というようなことを、知らない人にも分かるように説明しなければなりません。あとがきで補足しとくからわかるだろお前ら、な態度では駄目なのです。
そしてこれを、書き手というものは短いセンテンスで、かつ読み手がわくわくするように書かねばなりません。 だれがどうして、そしたらああなって、そしたら今度は……というような事務処理の模範みたいな、なんの工夫もせず書かれた無味無臭の文章を書かれたって、誰も興奮したりしません。
しかし作家はそこまで一人で背負い込む必要がない、というのが私の考えです。必要とはいえ、上のようなことたらたら書かれたら、書き手も読み手もやってられません。ここからがLUCEさんと違ってくるところだと思います。
簡単に言えば、落語とおなじことで、読者と作者との共同作業です。人の想像力に訴えることで、たとえ知らない世界の話でも、いくらでもどっぷりと浸らせることができるのです。想像力は偉大です。
人っていうものは読書しているとき、なにかしら考え事をしています。専らは活字を通して作者と対話してるわけですが、それを使わせてもらおう、というのが私の言う想像です。
ちょっと気の利いた修飾語をつけてあげるだけで、文章は幅が広がります。幅が広がるのはつまり、文中の世界が広がることでつまり、より世界の明度が鮮明になって、想像がしやすくなります。
ジョン・レノンも言ってます。イマジン。いい言葉ですね。意味合いはちょっと違いますが。
ライトノベルの煌びやかなイラストは、そのための一助なのではないでしょうか。
小難しい言葉を使えばおもしろくなるわけではないのです。ここぞのタイミングで、的確な言葉を使うからこそお話は段違いにおもしろくなるのです。
そのためにも、作家は日進月歩、常日頃から修練を積む必要があるわけなんですね。
LUCEさんの仰る「想像」がどれくらいの範囲までカバーしているのかは文中からは察することができませんでしたが、以上が私なりの考えでした。

長々と書いてしまい、伝えたかったことがちゃんと届いているか不安ですが、私の話はこれで終わりにしたいと思います。
それでは、執筆、楽しんでくださいね。

PS:
私が普段使わせていただいている小説技法研究サイトに、ちょうどいい議論のまとめがあったのでアドレスを記載しておきます。
明日の作家を本気で目指している方々の生きた声なので、大いに役立つと思います。

http://www.raitonoveru.jp/
http://www.raitonoveru.jp/howto/h4/565a.html#01

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